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【ラジエター冷却ファンの電動化】

  • 夏場の運転で冷却水温度が上がってオーバーヒートしたことはありませんが温度が上がってくるのは気持ちのいいものではありません。
  • また渋滞にはまったりするとエアコンの効きも悪くなるのでこれらを解消するにはファンの電動化が最適と思うようになりチャレンジしてみました。
  • 東京のNさんはDD6にお乗りですが冷却ファンを電動化され調子よく走っておられるとお聞きしたので意を強くしました。
  • ファンはアリストのターボ車用のファンです、厳密には発熱量やラジエターの容量などからファン容量を決めないといけないのでしょうけれどアリストの排気量や出力から見てジャガーにも流用が可能と判断しました。
  • 寸法などをよく当たらずに見切り発車したのですが結果オーライでぎりぎり収まりました。
  • ファン電動化直後はダイヤル式のサーモスタットを使用してラジエター出口温度でオンオフ制御をしていたのですがファンが回ると17A X 2 台で 34A もの電流が流れてバッテリー電圧がすぐに 12V まで下がるので一寸心配でした。
  • このファンにはFETのスイッチが付いていましたのでその後これを利用してラジエター出口温度による ファンの回転数制御を行った結果ファンが回る時間や電流が激減しバッテリーの心配は解消しました。
  • 例によって夏場の暑いさなかに作業に熱中していたため肝心なところの写真が少なくて分かりにくいかと思います、ご質問がございましたら遠慮なくご連絡ください。
  • ファン電動化の一例として参考にして頂ければ幸いです。

メカファンを取り外したところ


  • メカファンの取り外しは
    「ラジエター冷却ファンの取り替え」を参照してください。
  • ラジエター関係のホース類も全部外します。
  • この際ラジエターフィンの大掃除もやっておきましょう。
  • エアコンのコンデンサーとの間に結構ゴミがたまっています。
  • フィンを掃除するだけでエアコンもエンジンも本来の性能が発揮できるようになりよく冷えるようになります。
  • 知り合いの電装やさんのお話ではエンジンとエアコンのために年に1度くらい掃除するのがベターとのことです。
  • ファンを取り付けているスタッドボルトも干渉するので抜きました、使用されるファンに応じて行ってください。
  • 取り外したメカファン用のシュラウドと電動ファンです。
  • こうしてみるとメカファンのシュラウドは結構大きいです。
  • ファンは2連で7枚羽根と5枚羽根のものが付いていました、7枚羽根のファンをラジエター冷却用に、5枚羽根のファンをエアコンのコンデンサー冷却用に使い分けしました。
メカファン用シュラウドと電動ファン

ラジエターに電動ファンを重ねたところ


  • 寸法的にうまくゆけるかどうか確認します。
  • 上下はラジエター側が若干大きく、左右はファン側がフィンよりはみ出して左右のチャンバーに掛かってます。
  • ラジエターの冷却水出入り口の配管部分が電動ファンのシュラウドと干渉しています。
  • あとはファンの奥行きでウォータポンププーリー、パワステオイルポンププーリー、エアコンコンプレッサー電磁クラッチとベルト類と干渉しなければOKです。
  • この段階ではまだ分からずに実際に仮組みした結果何とか収まると言うことが判明しました。
  • 従ってアリストのファン以外を使われる場合は上記の点をしっかり見ておく必要があります、エンジンが若干前後に動いても干渉しないように 10mm 以上の隙間が欲しいですね。
ラジエター入り口配管とファンシュラウドの干渉具合


  • 電動ファンのシュラウドとラジエターの干渉するところを切り欠くために位置をけがきます。
  • 金鋸でくり抜いたあとラジエターとの隙間を埋める必要があります。
  • 結構大きな隙間が出来るので缶スプレーなどのビニールキャップを切り開いてあてがいブラインドリベットで固定しました。
  • ここの隙間をふさいでおかないとファンから出た熱風が還流して冷えが悪くなります。
  • 電動ファンのシュラウドとラジエターの間にもスポンジの隙間テープを貼り隙間風!を防ぎます。
  • ファンシュラウドの加工が終わったので電動ファンを仮組みします。
  • これで各部の干渉などのチェックを行い問題のないことを確認します。
  • 次はファンの取り付け架台の加工です。
  • 電動ファン側はファンに付いている取り付け部分を流用、本体側は既設メカファン用のファンシュラウド固定位置を利用しました。
  • まず電動ファンの上下に 30mm のアングルを渡してファンを固定します。
  • 次に既設メカファンのシュラウド取り付け位置に合わせた特製のL型金具で車両側に取り付けます。
  • 運転中に外れると大変なのでしっかり固定します。
  • 左の写真は上部取り付け部分です、右上側がラジエター上部取り付け部分で既設取り付け穴を利用しています。
  • 写真の左下が電動ファン本体部分です。
  • 写真の左上から右下に走っているのがサポート用のアングルでこれにファンがぶら下がり、中央のL型金具で本体側に固定しています。
  • ラジエター下部の取り付け状況の写真が撮れてませんが要領的には同じような方法で取り付けます。
電動ファンの仮組状況

電動ファン取り付け状況、右側


  • 取り付けが終わったところです。
  • きちきちの状態でファンプーリーとベルトが右のファンのFETスイッチと干渉したので取り付け金具を追加してFETスイッチの位置をずらしました。
  • このFETスイッチはファンの風を当てて自分で冷却するようになってますので位置を変えても必ずファンの風が当たるようにする必要があります。
  • 電動ファン側の上下寸法がラジエターより小さかったので上下に若干の隙間が出来てますがその分取り付けが上手く行きました。
  • もし電動化にチャレンジされる場合でアリストのファンを使われる場合はラジエターとエンジンとのクリアランスが非常に狭く電動ファンがすんなりとは入りませんので要注意です。
  • ラジエター&エアコンコンデンサーの上部サポートである鉄板部分を外してラジエターを少しでも前側に倒して余裕を作って作業をした方がいいでしょう。
  • それと電動ファンを納めてしまうまではラジエターのフィンに段ボールを当てて養生しておきます、アルミフィンは一寸物が当たると簡単に曲がってしまいます、フィンの修復成型が結構面倒です。
  • またファンが結構重いので納めるときに自重でゴトンと落としてしまいましたがそのときにファンシュラウドにとめているモーターの骨を2本ばかり折ってしまいました(^^;
  • そのままでもとりあえずはいけそうな感じだったのですが長期使用を考えるとちゃんと直しておいた方がいいのでL型金具を加工して折れた部分の接骨をしておきました。
  • この写真には入ってませんがラジエター上部にあるメッシュの通気口にはラジエター冷却後の熱風が還流するのを防ぐと同時に走行中の外気でエンジンルームを冷やすためにゴムのフラップをつけておきます。
電動ファン取り付け状況、左側

エンジンルームバッテリー前の電動ファン電源パネル


  • エンジンルーム内に設けた電動ファン専用電源パネルです。
  • ファン 2 台が同時に回ると 34A もの電流が流れるので専用の回路を設けました。
  • バッテリーから出てヒュージブルリンクを通ったあとバルクヘッドのターミナルで各部に分岐していますがこの端子からファン用の電源を分岐しました。
  • 大元の電源ヒューズ、各ファンに分岐するヒューズ、ヘッドライト&フォグランプ分岐用のヒューズを設けてます。
  • ヒューズをエンジンルームに設置したので当然周囲温度が高く、ヒューズを定格ぎりぎりで使うと裕度がなく切れやすくなります、十分余裕を見ておいてください。
  • 走行中に切れて予備のヒューズがないと車は走れなくなりますので非常に重要なパーツです。
  • バーニアダイヤルはサーモスタットの調整用です、一般的にドライバーで調整していますが微妙なところはほとんど適当な設定になってしまうのできっちり調整できればとつけてみましたが狙い通り上手く調整できます。

  • 小さなリレーが3個ありますがファンのコントロール用です。
  • この電動ファンは DC12V を直接入り切りして制御するのではなくFETスイッチから出ている細いリード線で制御します。
  • このリード線を解放もしくは 5V 以上の電圧をかければファンがオンになり、リード線をアースするとファンが止まります。
  • 既設の補助電動ファンは切り離してしまいこちらの回路に取り込みます。
  • リレーの用途は下記の通りです。
    • ラジエター用(サーモスタットの接点で動作)
    • コンデンサー用(サーモスタットの接点で動作)
    • 既設補助電動ファンからの回路用(既設回路から信号をもらう)

  • リレーを使ったのはFETスイッチとの絡みもあります、通常市販の多くのダイヤル式のサーモスタットはa接点、つまり温度が上がれば接点が動作して電気を流すようになります。
    (b接点 : 温度が上がると接点が離れる、ab接点タイプの物もあります)
  • ところがこのFETスイッチは逆でファンに通電するには制御端子をオープンもしくは5V以上にしてやる必要があり、制御端子をそのままサーモスタットにつなぐと温度が下がってファンが回り、温度が上がってファンが止まると言う全く逆の動作になってしまいます。
  • そこでリレーを入れて動作を反転させました、リレーを使わずにやる方法もあるのですが既設の補助ファンの回路からもらった信号で5枚羽根のファンを回すため簡単なシーケンスも必要なのでリレーを使いました。

  • このリレーの制御電源はエンジンキーと連動させておく必要があります、エンジンルームを見渡したところ燃料リレーの電源回路がキーと連動しているのでこれから分岐しました。
  • 電源容量はたかだか小型リレー3個分なので分岐しても全く問題なしです。
  • 当初はファン電源からとっていたのですが絶えず充電された状態となっていたため、エンジンを止めているにもかかわらず水温が上昇するとファンが回り出しました、失敗です。
  • ここらの考え方はややこしいので興味のある方はご連絡ください、使われるファンに応じた方法を考えてみます。

  • ラジエター冷却用のサーモスタットは感温部をラジエター出口チャンバーに取り付けてます。
  • 感温部をチャンバーに密着させ、上からウレタンのシートで押さえつけ耐熱アルミテープで貼り付けて外気温の影響を受けないようにしています。
  • 設定は水温計を見ながら85度近辺で動作するようにしました。
  • 低い温度に設定すると冷却水温度が下がってもなかなかファンが止まりません、また設定が高いとなかなかファンが回らず冷や冷やします。
  • サーモスタットのディファレンシャル(切断差)は割と大きいのでシビアーな温度制御は難しいですね。

  • コンデンサー側はコンデンサー出口の配管にサーモスタットの感温部をくくりつけ上からウレタンのシートを巻いて外気温の影響を受けないようにしています。
  • 設定は出口配管に温度計をつけてエアコンを動作させ、55度あたりで動作するようにしました。

  • 冷却水温が上がった場合従来は既設の補助電動ファンが回りますが今回はコンデンサー用のファンをそれに使いました、ラジエターの右のチャンバーの下部にサーモスタットがありますがこれが95度あたりになると動作します。

  • これらの接点でリレーを動作させ、リレーの接点でファンをオンオフします。
  • 小さなリレーですがファンにFETスイッチが使われていたのでこういった芸当が出来たのです。
  • なお、ファン2台運転時の消費電流が多いのでこのFETスイッチとオペアンプ&温度センサーによる 「ラジエター&コンデンサー電動ファンの回転数制御」 を行っております。

    (追)実際の作業の模様はメンテ日記の平成16年7月の項をご覧ください。

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